お読みいただきありがとうございます。ミズサキです。
私は学生時代、4年間経済学を勉強しました。
経済学は、
- 役に立たない
- とっつきにくい
- つまらない
と散々に言われることもありますが、分析の枠組みや使われている概念は、思考のツールとして、とても面白く有用なものばかりです。
そこで今日は、経済学の中から日常に役立つ考え方を3つ紹介します。
行動を変えるには動機づけ(インセンティブ)が必要
自分の行動であれ他人の行動であれ、それを変えようとすれば、適切な動機づけ(インセンティブ)を与えることが必要です。
経済学では人間は、自分の効用(満足度)を最大化するように行動すると想定します。
これは、あくまでも「主観的にみた満足度を最大化する」ということであり、客観的に見て望ましい行動であるとは限りません。
近視眼的だったり、モラルに反していたりする可能性があります。
経済学ではそれ自体を問題にしません。
適切な行動を促すような動機付け(インセンティブ)を与えることで、行動を変えさせればいいと考えます。
ゴミを放置する人に対して「モラルが低い」と批判したところで問題の解決にはなりません。
人間は必ずしも倫理的に行動するわけではないという事実を受け入れたうえで、ゴミを放置する気が失せるような仕組み(例えば罰金を取るなど)を整える方が生産的です。
私達は完全ではないので、「望ましい行動だから」という理由だけで望ましい行動を取り続けることはできません。誰も見ていないとズルをするし、ダイエットや貯金は挫折します。
だから、自分や他人の行動を変えるときは、意志や期待に頼るのではなく、動機付けを与える方法を考えましょう。
「この仕事を終えたら好きなドラマを見る」、「禁煙することを公言し、できなかったら恥ずかしい状態を作っておく」など適切なインセンティブを設定する方が、漠然と意識付けに頼るよりも、はるかに有効です。
選択は、機会費用を含めて考える必要がある
ある選択をすることは、別の選択をあきらめることです。
つまり、別の選択をしていれば得られたはずの利益を放棄していることになります。
これを機会費用といいます。
日給1万円の仕事を断って遊びにいく場合の機会費用は、その仕事をしていれば得られたはずの1万円です。
機会費用は直接支払うものではないので意識に上りにくいですが、実質的に発生している費用です。
100万円を現金でタンス預金として持っていた場合、名目上の価値は100万円で変わりません。
しかしそれを運用すれば得られたであろう利益を実質的に失っていることになります。
機会費用を意識するようにすると、様々な意志決定の質が深まります。
過去に費やした費用にこだわるのは無意味
すでに投入済みで、回収することのできない費用のことをサンクコスト(埋没費用)といいます。
サンクコストはこれからどう行動しても回収できない費用なので、現在の意志決定をするとき、サンクコストにこだわるのは合理的ではありません。
日常的な例でいえば、ゲームセンターのUFOキャッチャーに500円投入したものの、ぬいぐるみを取ることができなかった場合です。
500円投入した事実は変えようがないので、取れる見込みがないのであれば、そこでやめるのが理にかなっています。
しかし私達は、「500円投入してしまった」ということにこだわって、見込みがないのにお金を投入し続け、損失を拡大させてしまいがちです。
あるいは株式投資で、もう値上がりする見込みがないのに、損失を認めることができず、塩漬けにしてしまいます。
いくらで買ってどれだけ値下がりしたかという事実は変わらないので、本来なら、今後値上がりするかどうか、利益を得られるかどうかだけで判断するべきです。
私達はどうしても過去に費やしたコストにこだわってしまいます。
それが不合理だとわかっていても、なかなか感情的に割り切れません。
ある程度は仕方がないことです。
ただ、そのような思考の偏りを持っていることを理解するだけでも、自分の不合理な行動の抑止力になります。
経済学的な思考を身につけよう
いかがだったでしょうか?
経済学は、人間の合理的な行動を分析する学問です。
私達は必ずしも合理的ではありませんが、だからこそ両者を比較することで、自分の行動について多くの示唆が得られるのではないでしょうか。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。